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日々舎

池田絵美さん

多くの人の日々に、寄り添うパンを

2006年に東京から益子へ移り住み、オーガニックカフェで経験を積んだのち、2014年に「日々舎(にちにちしゃ)」をオープンした池田絵美さん。「おいしいのはもちろん、体がよころぶパン」を届けたいと、自家製酵母と国産小麦をベースに、野菜や果物もなるべく地元のもの、有機栽培のものを使いパンを焼いている。

益子の魅力は、「自分で仕事を生み出しながら、暮らしも楽しんでいる人が多いところ」と語る池田さん。そんな益子の人たちをお手本に、仕事だけでなく暮らしも丁寧に紡いでいきたいと考えている。

STORY

おいしいだけでなく、体がよろこぶパンを

毎年、春と秋に開催されている「益子陶器市」の会場となる城内坂通りを抜け、共販センターの先を右へ。坂道を少し登った森のなかに、小さな山小屋のような建物が見えてきたら、そこが「日々舎」だ。

日々舎外観

緑色のかわいい扉を開けると、焼きたてのパンのおいしい香りに包まれる。日々舎を訪れたのは、オープン前の朝10時ころ。奥の工房では店主の池田絵美さんが、前日の夕方に仕込みを行い、ひと晩じっくりと発酵させた生地を成形し、年代物のガスオーブンで次々とパンを焼き上げていく。お店が開店する11時には、カンパーニュやライ麦40などのハード系のパンをはじめ、ベーグルやマフィン、クッキーなどが店頭にずらりと並んだ。

焼き立てのパン

店頭に並ぶパン

池田さんが目指してるのは、「おいしいのはもちろん、体がよろこぶパン」をつくること。それは、「自分たちが毎日食べたいパン」でもある。

そこで、パンづくりの素となる酵母は、レーズンや酒粕などの身近にある素材からおこし、ずっと掛け継いできた自家製酵母を使用(下写真は、オープン前から掛け継いできたレーズン酵母)。その自家製酵母と国産小麦をベースに、もっちりしっとりとした食感で、噛みしめるほどに旨みや風味を感じられるパンに仕上げている。また、野菜や果物はなるべく地元産のもの、有機栽培のものをセレクト。サンドイッチにはさむキャロットラペをはじめ、あんこや柚子ピールなどの具材も、すべて手づくりしている。

「おいしく体にも優しいパンを毎日丁寧にコツコツつくることで、みなさん日々に寄り添うようなパンになったらいいなと思っています。『日々舎』という名前には、そんな思いを込めました」

酵母

健康的な暮らしを目指し、東京から益子へ

子どもの頃から料理が好きで、大学に進んでからは、「健康的な食事」にどんどんと興味がわいてきたという池田さん。卒業後は、オーガニック系雑誌の編集部に就職。それから2年が過ぎたころ、「自分が届けたものへの反応を、もっと直接知りたい」と思うようになり、渋谷でオーガニックカフェの立ち上げからかかわり、料理や天然酵母のパンづくりを担当してきた。

「仕事は充実していたのですが、毎日がとても忙しくて。自分自身の暮らしから健康的なものにしたいと考え、自然が身近なところでの暮らしに興味を持つようになったんです」

マフィン

ちょうどその頃、編集者として働いていたときから気になっていた益子のオーガニックカフェで募集が。池田さんは思い切って応募し、2006年に益子へ移り住んだ。そのオーガニックカフェでは、主にスイーツを担当。2年半にわたり経験を積んだ。その後、結婚、出産を経て、日々舎をオープンしたのは2014年10月のことだ。(下写真の男性は、カフェ&ギャラリー、宿泊施設である「益古時計」を営む神田さん。池田さんがパン屋を開くための物件を探していた際に、益古時計の敷地内にある建物を紹介してくれた)

益古時計

「益子には陶芸をはじめ、さまざまなものづくりに打ち込む魅力的な人が多くて、いい刺激をいただいています。お店を開くなら、やっぱり益子がいいなと思っていました。また、これまでオーガニックの料理やパン、スイーツなどを経験してきたなかで『パン』を選んだのは、夫婦ともに自家製酵母のパンが好きで自宅でも焼いていて、一番興味があったからなんです」

常に同じ仕上がりになるよう、生地と対話しながら

自家製酵母によるパンづくりの面白いところであり、難しいところでもあるのは、日々の気温や湿度、水温などによって、味も仕上がりも変化する点だという。

「気温が高い夏はどんどん発酵が進むのに対し、冬は発酵に時間がかかります。そこで、例えば夏場は生地を冷蔵庫にしまい、ゆっくりと発酵が進むように調整します。逆に冬場は冷蔵庫には入れず、室温で発酵させます。特に難しいのが季節の変わり目。常に同じ仕上がりになるよう、気温や水温の管理や調整にはすごく気を使いますね」

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このように手間ひまをかけさまざまな工夫を凝らし、じっくりと生地を発酵させるからこそ、味わい深く口どけのいいパンに仕上がる。今ではその味に惚れこみ、宇都宮や水戸、東京などの遠方から訪れるリピーターや、オンラインショップで繰り返し注文してくれる人が増えている。

「そんなリピーターの方から『あのパンが美味しかったよ』と言っていただいたり、ネットでの注文の際にメッセージをいただいたり、お客様一人ひとりの声が励みになっています」

益子に暮らす魅力的な人たちをお手本に

オープンから3年目を迎え、だんだん新たに挑戦したことが見えてきた。将来的には、イートインスペースがあるカフェのようなパン屋を、ここ益子でつくりたいと池田さんは考えている。

「実は、うちの自家製酵母パンや全粒粉ベーグルは、しっかり中までふんわりと焼くことで、よりおいしく味わうことができるんです。今でも口頭やホームページでおいしい食べ方をお伝えしていますが、さらに、実際にお店で提案していけたらと考えています」

こだわりのパン

そんな次の一歩を踏み出すためには、まずはここ益子で自分たちの仕事や暮らしを確立していくことが大切だと感じている。

「益子には、自分で仕事を生み出しながら、暮らしも楽しんでいる人が多くて。そんなみなさんをお手本に、私もパンづくりに打ち込みながら、季節ごとに梅干しを漬けたり、味噌を仕込んだり、暮らしも丁寧につくっていきたいと思っています」

PROFILE

多くの人の日々に、寄り添うパンを

日々舎

池田絵美さん

東京都出身。子どもの頃から料理が好きで、だんだんと健康的な食事に興味を持つように。大学のときから手伝っていたオーガニック系雑誌の編集部に就職。その後、渋谷でオーガニックカフェの立ち上げからかかわり、料理や天然酵母のパンづくりを担当。2006年に益子へ移住。オーガニックカフェで2年半経験を積み、益子町観光協会勤務を経て、2014年10月に「日々舎」をオープン。店頭やオンラインショップで自家製酵母パンやベーグル、焼き菓子を販売するほか、益子の玄米採食の食堂などにも商品を卸す。益子の人と暮らしを伝える本「ミチカケ」の編集にも携わる。

 

●日々舎 http://www.nichinichisha.com/

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  • 店頭に並ぶパン
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冬・春はイチゴ狩り、初夏にはあじさい、夏にはブルーベリー狩りやひまわり畑、秋には実った田んぼの眺めやコスモス畑、芋掘り、りんご狩り、ぶどう狩りなど、味覚や景色で四季を味えます。

陶芸や工芸、農業を中心に、土地の風土に根ざした生業と暮らしが穏やかな時間の中で過ぎゆくまちです。

益子町の
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