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イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム

照井康嗣さん

目指すのは、地域に役立つレストラン

イタリアや東京で、長年料理の経験を積んできた照井康嗣さんは、妻の実家がある栃木県高根沢町へIターン。周囲に田畑が広がるのどかなロケーションに、2016年9月「イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム」を開き、高根沢産の野菜のおいしさを生かしたイタリア料理を提供している。

オープンにあたり、高根沢町や金融機関などが連携して創業を後押しする「創業支援事計画」を活用した照井さんは、「料理を通じて、地域に恩返しをしていきたい」と語る。地元の若手農家と連携した加工品の開発を目指すなど、地域を元気にする取り組みに力を入れている。

STORY

高根沢の野菜をふんだんに使った本格イタリアン

ヴェッキオ・トラム店内

高根沢町にある「イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム」を訪れたのは、平日の午後1時半頃。それにもかわらず、店内は多くの人で賑わっていた。お客さんのお目当ては、栃木県産小麦「ゆめかおり」で打った自家製の生パスタランチ。高根沢産の新鮮な野菜が10種類以上味わえる、サラダビュッフェが付いているのも人気の秘密だ。

パスタを作る様子

パスタを盛り付ける照井さん

「高根沢では農業が盛んで、玉ねぎやカブ、ニンジンなど、馴染みのある野菜が抜群においしいんです」

そう話すのは、店主の照井康嗣さん。大学の頃から海外で働くことに憧れていた照井さんは、「イタリア研修旅行あり」という募集を目にし、地元・埼玉県熊谷市にあるイタリアンレストランで働き始めた。そこで5年間働きながら資金を貯め、語学を学び、2003年にイタリアへ。

国立のホテル学校で基礎を学んだ後、イタリア各地の郷土料理を学ぶために、まずは最高品質のワインの生産地として知られるピエモンテ地方へ。その後、アドリア海に面したマルケ地方で海の幸を生かした料理を、山岳地帯のアルト・アディジェ地方で山の料理を経験。星付きレストランを中心に、計5年間修業した。

盛り付けられたパスタ

帰国後は、南青山や六本木などのイタリアンレストランで8年間、シェフを務めてきた。そんな照井さが高根沢町への移住を決心したのは、どんな理由からだろう?

「実は、東京のレストランで働いていた頃から高根沢産の野菜を料理に使っていて、移住前からそのおいしさを実感していました。修業したイタリアの田舎町ような、豊かな食材が身近にある環境で店を持ちたいと考えていた私にとって、高根沢は最適な場所だったんです。また、実は下の子に障がいがあって、自然に囲まれた環境で子育てをしたいと思ったのも大きな理由の一つです。妻の育児の負担を考え、妻の実家がある高根沢を選びました」

野菜をつくる人と、食べる人をつなぐ場所に

2016年1月に高根沢町に移住した照井さんは、事業計画書をまとめたり、物件を探したりと、開店準備を急ピッチで進めた。そんななか高根沢町の職員と出会い、「創業支援事業計画」のことを知る。これは、町と商工会、農協、金融機関などが連携して創業を後押しする制度。照井さんは経営や財務などの講座を受講したほか融資の支援も受け、この制度の第一号として、2016年9月に「イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム」をオープンした。

照井さんのイタリア修行中の写真

店名は、イタリアに渡り初めて働いたレストランの名前からいただいた(上は、店内に飾られたイタリア修業時代の写真)。「ヴェッキオ・トラム」とは、イタリア語で「古い路面電車」という意味。田園風景のなかを烏山線が走る、高根沢の環境にぴったりだと感じたという。また、「食堂」と名付けたのにも理由がある。

「東京では各レストランが、イタリア料理なかでも『この州の郷土料理』といった特色を出しながら競い合っています。食材も現地から仕入れることが多いので、高額になってしまう。その料理をそのまま高根沢で提供しても、単なる独りよがりで、受け入れられないと思ったんです。高根沢には、身近においしい野菜がたくさんある。それを生かした親しみやすいイタリア料理を届けたいと考え、あえて『食堂』と名付けました」

サラダビュッフェ

たとえば、サラダビュッフェ(上写真)では、高根沢産の野菜を、茹でる、蒸す、焼くなどシンプルな調理法で提供。店内では、高根沢の野菜とともに、パスタやオリーブオイル、塩などを販売するコーナー(下写真)を設けている。

「高根沢の野菜は素材が本当にいいので、あえて余計な手は加えないようにしています。塩とオリーブオイルで野菜そのもののおいしさを味わう、イタリアの食文化も楽しんでいただけたらと思っています。また、ここで食べておいしいと感じていただいた料理を、自宅でも気軽につくれるように食材も販売。このお店から地域の野菜の魅力を発信していくことで、高根沢の農家と人をつなぐ役割も果たしていけたらと考えています」

店内で販売されている野菜

地域とともに成長していく店でありたい

農家さんと照井さん

高根沢に移住して何よりもよかったのは、食材をつくる農家と直接話ができることだ。

「高根沢には、農業に取り組む若い人たちが数多くいます。そんな彼らとともに、食材の魅力を生かした加工品を開発していきたい。味の追求はもちろん、パッケージもおしゃれに仕上げることで、一緒に高根沢ブランドを築いていけたらと思っています」

そんな6次産業化の成功モデルをつくり、農業のイメージアップを図っていくことで、農業をやってみたいという担い手が増えるのではないか。また、新たな産業や雇用を生み出すことで、地域の魅力が高まっていけばと、照井さんは考えている。その第一歩として、今年の春に、若手農家とともにイタリアを訪れ、向こうの農業や食文化などを体験する研修旅行を実施した。

「高根沢に来て一番変わったのは、『地域のために』という視点が生まれたこと。このお店は、いろんな方にサポートしていただいたおかげでオープンすることができました。だからこそ、このお店を通じて高根沢を元気にしていきたい。これからヴェッキオ・トラムが、地域とともに成長していくのが楽しみです」

PROFILE

目指すのは、地域に役立つレストラン

イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム

照井康嗣さん

埼玉県熊谷市出身。地元のイタリアンレストランで5年間修業した後、2003年にイタリアへ。国立のホテル学校へ1年半通い基礎を勉強したのち、海沿いや山岳地帯にある星付きレストランで、それぞれの地域の郷土料理を学ぶ。5年間のイタリア修業を経て、2008年に帰国。南青山や六本木、練馬のレストランで8年間シェフを務める。2016年1月に妻の実家がある高根沢町へ移住。9月に「イタリア食堂 ヴェッキオ・トラム」をオープン。

 

●イタリア食堂 ヴェッキオ・トラムhttps://www.facebook.com/vecchiotram0904/

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高根沢町について

高根沢町

高根沢町(たかねざわまち)は栃木県のほぼ中央に位置し、西側は鬼怒川をはさんで県庁所在地・宇都宮市に隣接しています。
まちの玄関口のひとつである宝積寺駅から宇都宮駅へはJR宇都宮線で約10分。新幹線を使えば東京へも約60分でアクセスできる、利便性の高いまちです。
東部には八溝山系、中央部には水田地域、西部には商店街や住宅地が広がっています。JR宝積寺駅は世界的な建築家である隈研吾氏のデザインによって、平成20年にリニューアルされました。幾何学模様に配された木材が天井いっぱいに広がるさまは、圧倒的なインパクトです。

同じく隈研吾氏が設計した駅前広場「ちょっ蔵広場」やグランピング施設も備えた「道の駅たかねざわ 元気あっぷむら」、お試し創業施設「THE CREATORS DEPARTMENT(クリエイターズデパートメント)」など、新しい風が吹き込む魅力的なまちです。

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